NGUYEN DUONG THIEN THANH

「ソラ・ガーデンズ II」にある日系の内科クリニックです。2019年2月にビンズン新都市内初の医療機関として開院しました。日本、中国、台湾、韓国、英国、ベトナムなど多国籍の患者様に対応しています。

医師は全てベトナム人で、基本的な使用言語は英語ですが、日本語や中国語対応の通訳スタッフも常駐しています。内科診察以外にもワクチン接種や健康相談など新しいサービスも展開しています。 

ドンナイ省に住んでいるので、平日は「ドンナイ総合病院」で勤務しています。ある時、私の部署が日本の「国際協力機構（JICA）」から援助を受けていることを知りました。怪我や病気の後に行うリハビリテーションに関して資金面で支援をいただいていることから、私も日本人患者を対象としたケアに興味を持ちました。

ただ、ドンナイ省には日本人専門のインターナショナルクリニックがなく、あるのはビンズン省かホーチミン市だけ。そのため家から比較的近く、通勤が容易な当院を選びました。

とても快適です。家からクリニックまで車で40分程。仕事での通勤も苦になりません。ドンナイ省の自宅からとホーチミン市の中心街からの実際の距離も、新都市まではほとんど変わらないと思います。 

 実は私の夫は交通網の計画を立てる機関で働いているのですが、夫も「新都市の道はとても良い」といつも言っています（笑）。10、20、30年後を見据えた計画が立てられていて、街の発展に見合うように整備されているそうです。 

新都市内の医療体制は発展中といったところでしょうか。脳卒中や心筋梗塞など、発症から短時間での治療が必要な重篤な病気に対応できる病院はなく、救急患者は主にホーチミン市で治療を受けることになります。

ただ、他の一般的な病気に対する医療は安心できるレベルだと思います。新都市内はクリニックが中心ですが、省内には「ベカメックス国際病院」や「コロンビアアジア病院」、産婦人科では「ハンフック国際病院」などの大型病院があります。私が出産する時も、実はハンフック国際病院を選びました（笑）。

ビンズン省には充実した設備で快適な療養生活を送れる病院があり、明らかにドンナイ省よりも環境が整っています。当院で対応できない症状の場合も他の病院をご紹介しています。緊急治療や重い病気を除く約95％の疾患は、ビンズン省内の病院で対応できると思います。

大切なのは「患者を中心に考える」ということ。日本人を診療するうちに、ベトナムとの大きな違いがあることに気づきました。たとえば、診察後は薬を渡して終わりではなく、「自分が何を飲んでいるのか、病気がどこにあり、なぜそれを飲むのか」などを説明する必要があるのです。多くの外国人が暮らすこの街の医師の役割は、単に医師というだけでなく、患者の伴侶であり、助言者でもあるのです。

また、工場勤務の方が多く、食生活の乱れなどから血圧に異常があったり、ストレスが溜まったりする人もいます。そこで、当院ではZoomを使った診療サービスをしています。健康状態の把握や定期的な検診を行い、異常がある場合は希望に沿った医療機関をご案内したり、当院で薬を調合したりしています。

新都市は街の雰囲気、生活のリズムや質、その全てにとても良い印象があります。ほとんどが働き盛りの年齢で、生活水準が高く知識も豊富。収入も安定している方が多いため、医療面はもちろん、サービスの質も高いレベルが求められますね。

普段は病院からあまり出ないため詳しくはないのですが、お気に入りはクリニックと周辺です。特にレストランはどこも美味しいですね。近辺の店はほぼ全て訪れているかもしれません。

以前、オーストラリアのパースへ留学したのですが、商業的な大都市ではなく、賑やかな生活がある街でした。新都市も同じような雰囲気があります。レベルの高い仕事があり、子ども用の遊び場などを備えた快適な住居、リラックスできる場所もある。適度に発展した都市でいて、スモッグや交通渋滞、人口密度などによる不要なストレスに悩まされることもありません。モダンとスローライフ、そして生活の質の高さを合わせ持った街だと思います。

新都市は都市計画が明確で、インフラへの投資も十分に行われています。街の計画やメリットが適切に活かされているので、これ以上は望めないかもしれませんね（笑）。ただ、もっと発展したとしても、最大の魅力は「生活の質」ですので、今と同じような雰囲気を保ってもらえると嬉しいです。